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2008年4月

2008年4月11日 (金)

私は今、京都心学塾という私塾の事務局をやっている。
ここの塾長は私の友人であり先輩であり師である。
彼は表向き経営者であるのだが、誰よりも思想家である。
しかも、知識としてだけではなく
すべて実体験を重ね合わせた生きた言霊で我々に語りかけてくれる。

そんな彼の哲学に最近ブログで触れられるようになった。
パソコンを使おうともしない彼は
ブログの原稿を手書きで書き
それを業者さんに打ち込んでもらってアップしている。
この効率の悪さが、彼の真骨頂だ。

そんな訳で、彼に任せていては
ココログの皆様にこの言霊が届くのはいつのことになるやらわからないゆえ
私が一肌脱いで、セレクトしてご披露しようと思う。
これで少しは、私の日記の更新も増えるだろう。

―以下 TOKI-WA-SOHオーナーブログより

たった一杯のお茶(4/8)

「常在戦場」という言葉をご存知でしょうか?
 これは武士としての心得を語った言葉です。実際に戦が有る時はもちろん、戦場にいる訳ですが、そうで無い日常で在っても、武士たるものは戦場に居るのと同様に、緊張感を失ってはならないという事と、命を惜しむなという教えです。これはとても厳しい事には違い有りません。何故ならそれは武士の義務だからなのです。しかし、一方で武士は身分制度の最高位に位置し、政り事を行ない、又、唯一刀という武器の携帯が許されていた。つまり大きな権力に対して、とても厳しい義務が課せられていたと言えます。
 今日、私がブログに記そうと思っているのは、このような権利と義務の話では無く、「お茶」の話なのです。日本には茶道というものが有り、始祖は千利休という堺の商人ですが、武士階級の嗜みとして広がり、後には武士の宗匠、古田織部が武家の茶道を確立している。彼等武家の基本に「常在戦場」が有る訳ですから、その茶一杯、この出会い全てが今世での最後のもので有るという心得で交わりをしたものです。「一期一会」という言葉は、そのような心情を表した言葉として、今日も使われる事が有る。
 私は訪問客を迎える時には、いつも自らお茶かコーヒーを入れる。それも心を込めて、コーヒー等は豆から挽いてお入れする。言葉だけでは無く、1杯のお茶にも1杯のお茶にも命が宿ると考えるのが武士道の考え方です。
 松下幸之助先生は、経営者とは一言で言うと「方向指示器付き茶汲み業」だとおっしゃる。つまり、会社の行く方向を指し示し、後は1人1人頑張っている社員の皆様に有り難うの気持ちを込めて、1杯のお茶を入れる。これが社長業だと。私が心に深く受け止めた言葉です。
 でもそんな事を理解している会社勤めの事務員さんは少ないです。薄くてぬるいお茶を平気で出して来る。こちらから言うとわざわざ取引先に足を運んでいる訳です。その相手の気持ちを感じ取る美しい感性が失われて来た。わざわざ来ていただいた先様に対し、口は出さなくとも「どうも有り難うございます」の気持ちは伝わるものです。まぁ、お茶が出るだけマシで、そんな事すら気が付かない無礼な会社も有りますね。
 或いは、こちらからわざわざ時間を空けて訪問している時にも関わらず、話の途中に携帯にかかって来た用件で長々と話をする無礼な奴。わざわざ訪問している者より電話の相手が優先されるならば、全て電話ですれば良い。人間関係とはそんなものでは無いはずだ。私はそういう社会常識を大人になる前の子供にしっかりと教えなければいけないと思う。
 自分の魂を込めて作った作品は美しいオーラを放つし、一瞬一瞬を命懸けで生きている人は何処か凛としている。こういう輝きを放つ事が出来るためには、勝てば良い、儲かれば良い、金を持っている者が偉いという経済の枠組みの中で生きるのでは無く、名誉や誇り、恥を嫌う美意識の枠組みの中で生きるしか無い。
 しかし、この美意識の枠組みで生きるという事は、こうして記すには簡単だが、実はとても難しい。やってみればすぐに解る事だが、まず経済的に恵まれない。そもそも経済の枠組みで生きていないから当然だが、もっと辛い事は私が出会う殆どの相手は美意識の世界で生きてはいない。という事は、いつも無造作に傷付けられるのは美意識のある側となる。凛として生きようと覚悟する事は中々の難題で有る。しかし、そのような覚悟が出来た者が、稀にこの世に存在する。そんな人との出会いこそが珠玉なのだ。 
 私の塾生で岡山から足を運んでくれるY君はそんな若者だ。しかし彼も職場の問題で傷付いている。ほとほと美意識の枠組みの中で生きるのに疲れる国になったなぁと思う。

―よければ直接アクセスしてみてください。
ブログのアドレス
http://www.tokiwasoh.com/note/2008/04/

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